IoTとAIが融合した新しい創造の場、始動!
近年、IoT とAI を連携させ、私たちの生活環境をより豊かにしようとする「アンビエント情報環境」についての研究や空間づくりが注目されています。本学でも、2016年7月に国立大学では初となるAI 研究拠点「人工知能先端研究センター」が設立され、さらに2017年4月には附属図書館内に「Ambient Intelligence Agora(以下、AIA)」を完成させました。このAIA は「アンビエント情報環境」を取り入れた新しいアクティブ・ラーニング空間で、利用者は液晶ディスプレイやテーブルにも投影できる液晶プロジェクターを使って、大人数のセミナーから数名でのブレインストーミング、また個人での勉学など、様々な場面で活用することができます。 またAIA の空間内には、インタラクション※用のロボットに加え、温度・湿度・照度・CO₂ 濃度の測定やCCD カメラ、指向性マイクといったセンシングデバイスが大量に設置されています。これらは個人情報への十分な配慮の下、AIA でのアクティビティをデータ化し、「アンビエント情報環境」を取り入れた空間がイノベーションの創出や業務効率の向上にどれほど寄与しているのかを解明するために設置されています。AIAはこうしたイノベーション創出過程の「見える化」を後押しするデザインとなっています。 もちろんAIA は、収集されるビッグデータを処理するため、そして人とデバイスを通してインタラクションを行うための人工知能研究のための空間という位置づけでもあります。そのため十数台の本格的ディープラーニング※用コンピュータ等も設置されています。 AIA 完成後の入場者数は昨年を大きく上回り、ガラスボードを使っての議論など、文字通りアクティブに利用されています。現在、具体的にセンシングデバイスを使って計測をしようと準備している段階で、効果的な「見える化」を行い、そして得られたデータを通して、よりアクティブな場となるように改良を行っていきます。 ※インタラクション:相互作用。人による操作や行動を受けて、機器がそれに対応した反応や行動をすること。 ※ディープラーニング:機械学習の一つで、脳型のアーキテクチャで、高い性能を発揮する人工知能技術のこと。 2017年6月3日 電気通信大学教授・初代人工知能先端研究センター長 栗原 聡